「っ! 結婚の許可と、退職の許可は別だ! 本人の意思を無視して退職させるのは認められない!」
「あら? 本人の意思を無視してる証拠は?」
私が問うと、エリカが左手を私に見せつけた。
中指にシオン様の贈った指輪が輝いている。
「この指輪は、シオンさま……、いえ、シオン先生からいただいた通信用の魔導具です。いつでも困ったときは連絡してきていいといただきました。それなのに、連絡がつかないんです!」
エリカの言葉にローレンス殿下が動揺した。
「その指輪……そんな魔法がかけられていたのか! そんなものすぐ外せ!!」
「ロー! 今はそんな話をしている場合ではありません。これでは、先程と同じ。ルピナ様の思うつぼです!」
エリカはキッと私を睨み上げた。
どうやら先程の痴話げんかで学習したらしい。
「連絡が取れないように結界を張るだなんて、きっと後ろ暗いことがあるはずです!」
私はギクリとした。
(攫って監禁、さらには騙して結婚、勝手に退職させたんだもの。今、エリナたちにあったら心が揺らいでしまうかも。まだ、シオン様をエリカたちに会わせるわけにはいかない! でもどうしたら……)
反論できずにいる私を見て、ローレンス殿下がここが好機と目を光らせた。



