「今日はね、新しい企画が来たわよ!」
私の言葉に、オーナー代理のカンナが眼鏡を光らせた。彼女は大きな商会の娘だったが、女という理由で家を継ぐことができなかった才女だ。
弟の相続を安定させるために、田舎の高齢者とむりやり結婚させられそうになっていたところを私が引き取った。彼女の能力は介護より商売に向いているからだ。
「どういった内容です?」
「例の部門の支店を王宮内に出してほしいらしいの」
「ローレンス殿下が嫌がられるのでは? 受け入れてもらえますか?」
「そう。だから、表向きは王宮の一部門の下請けとして社名は隠し、ループス商会の人間を派遣しようと思うのよ。どうせ、殿下はそこまで調べやしないわ」
私が悪い顔で微笑むと、カンナも同じく微笑んだ。
「そうやって実を取る……。どうして悪いことばかり思いつくのでしょう」
「やだ、よいアイデアでしょう? 宮廷の人々は、気持ちよく仕事の依頼ができる。私たちは宮廷の情報が手に入る……」
「悪役顔ですよ。ルピナ様」
突っ込みが入って私は肩をすくめた。



