天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

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 無事、シオン様の退職届を受理してもらい、私は自身が設立したループス商会へと向かった。

 ループス商会では、前世の知識を生かしてさまざまな事業を手広く扱っている。ちなみに、社員たちは知っているが、世間的にはオーナーが私であることは秘密だ。設立当初から私の悪評がとどろいていたので、イメージ戦略的によろしくないと判断したのだ。

 信用できる女性に、オーナー代理をしてもらっている。

 初めのうちは、女が経営者であるというだけで、馬鹿にされていたのだが、そこを逆手にとって女性経営者との連携を強めたところ、短期間で大きな商会になった。しかし、急成長したこともあり、悪徳商会などと呼ばれているのだ。

 単純に我が社の社員がやり手なだけなのだが、嫉妬からか認めたくない人たちが多いのである。

 商会のドアを開けると、社員たちが満面の笑みで迎えてくれる。

 私の商会の社員は、普通の商会では働きにくい人を中心に採用している。

 悪徳商会と呼ばれているため、条件のよい人は応募してこないということもあるが、私はできるだけ困っている人を助けたかった。

 貴族は寄付や奉仕事業などで平民を救済することが多い。

 しかし、私はただ食べ物を配って終わりにするのではなく、自分で生きる力を手に入れてほしいと思ったのだ。