天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「間違いなくこの退職届はこちらで受理した。あとの手続きは任せてくれ」

「ありがとうございます。お兄様」

「予想どおり、魔術部門は受理しなかったか」

「ええ、大切な魔導師とおっしゃっていましたわ」

「ならば、サッサと階級を上げ、役職につければよかったのに。在籍五年でまだ下級魔導師なのは彼だけだ。俺からは勧告を何度もしたぞ」

「お馬鹿なのですわ」

 私が答えると、お兄様は苦笑いした。

「おかげで我が公爵家に有望な人材を引き抜くことができたんだ。礼でも言っておかねばな」

 お兄様は余裕の笑顔である。

「ところで、ルピナ、例の件は考えてくれたか?」

 お兄様が尋ねた。