天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「……ルピナ嬢はこんなにかわいい人なのですか? 噂では悪女だと……」

 ボソリと先輩役人に尋ねる新人役人がいて、お兄様は眉をつり上げる。

「ルピナはいつもかわいいが、勝手に見るな。噂に惑わされるとはまだまだだな」

 ピシャリと言い放ち、私は思わず噴き出した。

 新人役人はきつく目を瞑り、ピシリと居住まいを正すと、直角に礼をした。

「申し訳ございませんでした!」

 ほかの役人たちは目を泳がせている。

「さて、なんのようだ、ルピナ」

「結局、お兄様のお手を煩わせることになってしまいましたの……。力不足で申し訳ございません」

 私はしおらしく俯いて、シオン様の退職届をお兄様に差し出した。

 お兄様は中を確認すると、静かに頷く。