天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


(殿下はけっこう気にするタイプなのよ。気をつけてね、大聖女様)

 漫画でローレンス殿下の独白を読んでいる私は、彼の嫉妬深さを知っているのだ。

「なら、シオン先生と呼べばよいわね」

 私が続けると、ローレンス殿下もシレッと頷いた。

「ああ、そうだな。線引きはしたほうがよいだろう」

「!」

 エリカは驚き目を見開く。

「あなたはローレンス殿下からプロポーズをされた身。そして、シオン様は私の夫ですのよ? ほかの女性の夫に向かって『私だけがわかる』だなんて……ねぇ? 大聖女様でありながら不倫の匂わせかと思って驚きましたわ」

 私が追い打ちをかけると、エリカは泣きだした。

「そんな……、そんなわけないでしょう!」

「流石に言い過ぎだぞ! ルピナ!」

「あら、ごめんあそばせ。でも、私が『恋愛』と言ったわけでもないのに、顔を真っ赤にして必死に否定なさるから、まるでやましいことでもあるのかと……」

 私が答えると、ローレンス殿下は不安げにエリカを見た。