天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「本人はなにをしている」

「私の作った愛の巣におりますわ」

「結婚とは名目上で、実情は拉致監禁という噂は本当だったのかね」

「あら、皆様下世話ですわね。おほほほほ」

 わざとらしく笑ってみせると、長官は退職届を私に投げた。

「こんなものは受け取れない。シオンがどれほど優秀な魔導師かわかっているのか?」

「わかってるから欲しいのですわ。黒髪だからと冷遇するような、あなたたちにはもったいない」

 私が口元だけで微笑むと、魔導師たちはザッと一歩さがった。

「……!! だが、本人の意志でない退職など認められるわけがない」

「だから、退職届を持ってきました。ご確認あそばせ?」

 私は丁寧に封筒から手紙を出すと、長官のおでこに突きつけた。

 脂汗で手紙がおでこに張り付く。

(あら、ばっちぃ)

 私はソッと指を離した。