(せいぜい悪評が広まるだけだわ。それは望むところだし! アホの相手をしなくてすむだけ気が楽というものよ)
神聖なる白髪を有し、大きな魔力を持ちながらも大聖女として学ぼうとしない私は、魔法関係者から蛇蝎のごとく嫌われている。
そのうえ、先日はユニコーンに乗れることまで見せつけられたのだ。まさに目の上のたんこぶ、というやつである。
私は無言でツカツカと魔術部門長官の机に歩いていくと、退職届をパシーンと叩きつけた。
結婚契約のどさくさに紛れ、シオン様にサインさせた退職届である。シオン様はなににサインを書いたかわかっていないはずだ。
「何事かね。ルピナ嬢」
「我が夫シオンの退職届ですわ。本日付で退職いたします」
腕を組んでふんぞり返る私を、長官は忌ま忌ましそうに見上げた。



