(ということで、監禁後すべきことは、宮廷追放の妨害よ!)
宮廷魔導師であるシオン様は、今日まで結婚休暇を取っていた。
しかし、今後も私に監禁されるため、出勤は不可能だ。退職にあたり手続きがあるため私が勝手にすることにした。
(私は悪妻ですからね。夫の意志など無視します!)
私は、王宮内の宮廷魔術部門のドアをバーンと開いた。
なかで仕事をしていた宮廷魔導師たちが何事かと振り返る。そして、私だとわかると、あからさまにため息をつく。
「もう、ローレンス殿下の婚約者でもないのに、大きな態度だな」
「王子に捨てられたのにまだ懲りないのか」
聞こえよがしの悪口には慣れっこだった。
しかし、セレスタイト公爵令嬢である私からすれば、王子から婚約破棄されたとしても、特に不利益は生じない。



