「資料はあるか?」

「ドラゴンの? ええ、図書室にもございますわ。そして、ケンタウレア、シオン様にあなたの知っていることをお教えして?」

 私の頼みにケンタウレアは頷いた。

「ルピナ様がそうおっしゃるなら、そうしよう」

 ケンタウレアが頷くと、驚いたようにシオン様が私を見た。

「どうかされました?」

 私は小首をかしげる。

「いや。信頼されているのだな」

 シオン様がしみじみと呟いた。

「いえ、ケンタウレアは私が怖いだけですわ。ここに監禁しているのは私なんですから」

 私が答えると、ケンタウレアは肩をすくめた。

「ルピナ様がそうおっしゃりたいのなら、そうすればいい」

 なぜか呆れたように言うと、ケンタウレアはシオン様に目配せをする。

 ふたりは視線でなにかを語らい、ふたり同時に苦笑いした。

「なによ、ふたりとも」

 私が睨むと、ふたりは笑いながら視線を逸らした。