天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「……ただ、それだけのために? 魔塔を捨てる覚悟で罪を被ろうとした……のか……?」

 私はただ俯くだけだ。

 馬鹿だと思うかもしれないが、私にとっては重要なことだった。

 シオン様の幸せが私の幸せだ。そのために生まれ変わったと言っても過言ではない。

 シオン様は大きくため息をついた。

「君はなにか勘違いしているようだ。私はエリカを愛していない」

「は? そんな、嘘を……」

 驚き顔を上げる私の瞳を、シオン様はジッと覗き込む。

「ちゃんと聞いてくれ」

 シオン様の黒い瞳に、私の姿が映っている。