天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


(ルピナは私の名にちなんだ『紫苑』の花をあしらってくれていたな……)

 強引で自己主張が激しいようでいて、そういったところで彼女は自分を主張しない。なによりも私に似合うものを考えてくれているのがわかる。

 私に天青石のブローチをくれたのは、彼女の瞳の色だからではない。セレスタイト公爵家の人間として認められた証しだからだ。

「だから、シオン。もう、ルピナの言いなりになる必要はないのだ。お前は上級魔導師だし、オレの補佐としてのポジションも用意してある。帰る場所がないと思い悩む必要はない。だから、本当のことを話してくれ」

 ローレンス殿下が杖を押しつけ、強い視線で私の顔を覗き込んだ。受け取れと圧をかけているのだ。

(王子直下の魔導師という身分と、この杖が欲しければ、ルピナに罪を押しつけろ、という意味だろう)

 私は小さくため息をつき、ローレンス殿下に杖を押し返した。