半透明の花びらを持つ聖花は、神聖力を受け溜め込み増幅させる性質を持つ。純粋な神聖力を受けて育った花は、限りなく透明に近くなり、強い神気を発するようになるのだ。神気は瘴気を滅し、邪悪なものを追い払う。
しかし、今、この花園の花は勢いをなくし、咲いている花も黄色や紫、空色など、仄かに色が混じってしまっている。
(どうして透明になってくれないの?)
聖女見習いとして、花園を管理してきたときは、誰よりも上手に花を育てていた。
土いじりを嫌う貴族出身の聖女たちとは違い、私は花を育てるのが好きだったからだ。喜んで汚れ仕事を請け負ってきた。
(たぶん、私が大聖女になれたのは『花占い』の実力だけじゃない。花園の管理も見込まれたから……)
今も、同じように土にまみれて育てている。
(それなのにどうして?)
私自身はなにも変わっていない。
(それなのに、大聖女就任パーティーからなにかがおかしくなっている……)
私は元気のない花たちにジョウロで神聖力をませた水を浴びせながら、考える。
婚約式後、ローレンス殿下と国王陛下のあいだで一波乱あったのを聞いている。どうやら、婚約式はルピナ様との和解の場でもあったらしい。しかし、失敗してしまった。
(私たちの婚約式で、ルピナ様と和解しようとしてただなんて知らなかった……)
私は不安が押し寄せてくる。



