天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「……すまない……」

 向かい合って座るシオン様は、腿に肘をつき両手を組み合わせ、その手を額につけ呟いた。

「……え? なんで、シオン様が謝るのです? 私のせいで巻き込んですみませんでした」

「……いや。結婚式をしたかっただろうに、気が利かずすまない」

「いえいえ、そんな、大丈夫です」

「だが、女性の憧れだろう?」

「もとからするつもりなどありませんでしたから」

 私は軽く答える。

(推しと挙式だなんて烏滸がましいにもほどがあるでしょ。たしかに! 推しの結婚式は見たい!! けど! 相手は私じゃないわよ!)

 しかし、シオン様は俯いたまま尋ねた。