天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「ルピナ! 覚えていろよ! お前の悪事は必ず暴いてみせるからな!!」

 ローレンス殿下の声が背中に響くが、私は振り返ることすらおっくうだった。

 シオン様は無言でついてくるが、その顔は暗い。

(やっぱり、シオン様をこんな場所に連れてくるんじゃなかった……)

 私の心は後悔の嵐である。

(私はなにを言われてもかまわないけれど、シオン様まで傷つけてしまった)

 その事実があまりに悲しくて苦しい。

 唇を噛みながら、馬車へと向かう。

 そうして、馬車に乗り込むと思わずため息をついた。