「ひどい……それじゃ、まるで人身売買。シオン先生は奴隷だわ……」
「この悪妻が!!」
ローレンス殿下が私を罵倒した。
私は鼻先で笑ってみせる。
「なんとでもどうぞ。私はシオン様を買えるお金を持っていることに誇りを持っておりますので。でも、ローレンス殿下はこれでよろしいの? 皆様に私たちの不仲が知れ渡ってしまいましてよ?」
ローレンス殿下はサッと顔を青ざめさせた。いまさら状況に気がついたらしい。
「! ちが! これは」
「今になって取り繕っても遅いですわ。どうせ、慰謝料請求額に驚いて、和解の糸口でも探ろうとしていたのでしょうが、きっちり払っていただきますわね」
「な! ルピナ、話しあおう」
「嫌よ」
「お前! シオンの妻として恥ずかしくないのか! 金の亡者め!!」
「私は悪妻ですもの。そんなこと気にしませんわ。では、皆様ごきげんよう」
私はシオン様の腕に自身の腕を絡ませて、その場を去る。



