パサリ、髪を掻き上げローレンス殿下に微笑みかけた。
「言いたいことはそれだけ? あなただってセレスタイト公爵家から支払われる維持費が目的だったでしょ? なにが違うの?」
ローレンス殿下はウッと怯む。
(はぁ、本当に嫌になる)
誰も私となんて結婚したいと思わない。ほしいのは金だけだ。
「悪女と呼ばれるこの私と、金銭以外の目的で結婚する人がいたらお目にかかりたいわね」
私は妖艶に微笑んで見せる。
「ルピナ! それは違う!!」
否定するシオン様を私は無視して続けた。
「私がシオン様を欲しくて結婚したのです。シオン様の意志など関係ないわ。私はそれだけのことができる力を持っているの。逆らえなかったシオン様を侮辱するのは筋違いですわよ?」
悠々と怯むことなく答える私に、エリカは涙目でなじってくる。



