(ああ、やっぱり、シオン様も不本意な結婚なのよね……)
わかっていても、胸が苦しい。
(でも、これ以外に私はシオン様を救うすべが思いつかなかったのよ)
無力な自分に悔しくなる。
たとえば、エリカに生まれ変わっていたら。
ローレンス殿下に生まれ変わっていたら。
国王陛下だったらどうだろう? 王妃だったら?
違う人物に生まれ変わった別の世界線だったら、こんなふうにシオン様を傷つけずにすんだかもしれない。
でも私は悪女ルピナだ。思いつく方法はこれしかなかった。
(だから、悪女は悪女としてシオン様を救う道を突き進むしかないのよ)
私はユックリと顔を上げ、周囲を見回す。
(まずは、こんなクソみたいな所から、シオン様を連れ出さなくちゃ!)



