天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

「口ではなんとでも言える。結婚式も挙げていないのが証拠じゃないか」

 ローレンスに指摘され、私とシオン様は返答に窮した。

(シオン様が嫌がるかと思って結婚式は考えていないけれど……たしかにそう見えるかも)

 私たちのやりとりに、周囲が注目しはじめてくる。

「たしかにそうね。なぜ結婚式を挙げないのかしら?」

「黒髪が結婚式を挙げるなど聞いたことがないもの。しかたがないのでは?」

 冷ややかな視線がシオン様に向けられる。

 シオン様は暗く視線を落とした。

「でも、セレスタイト公爵家ほどの家門なら式を挙げないのも前代未聞よ」

「ルピナ嬢が強引に命じたと聞いております。なにか裏があるのでは? 離婚を前提にされているのかもしれないな」

「たしかに、そうでなければ名門の令嬢が、漆黒魔導師などと結婚するわけがない」

 ヒソヒソと囁かれる声が私にも伝わってくる。

 表情を暗くしていくシオン様。