天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「こんなところで注意しなくてもよいだろう。シオン。いつまでエリカの師のつもりだ」

「これが最後のアドバイスだ。今後はローレンス王子殿下が彼女を支えてほしい。妻が恥をかかぬようにするのも夫の勤めだろう?」

「はっ! 先に結婚したからと先輩面か」

 ローレンス殿下は不愉快そうに言い、嘲るようにシオン様を見くだす。

「どうせ、金目当ての結婚のくせに。研究施設と実験費がほしかっただけだろう」

 図星を指された私は怯んだ。

(まさにそのとおり……だけど、他人から言われると傷つくわ)

 シオン様を自死させない、その目的でなりふりかまわずやってきた。

 愛のない結婚だとわかっている。シオン様が私を愛すことなどないことも。見返りなんて考えてはいない。

 それでも、他人から指摘されると悲しくなる。

 反論ができずに俯く私の背にシオン様が触れる。

「そんなことはない」

 その声に驚き私が見上げると、シオン様はまっすぐとローレンス殿下を見ていた。