天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「……そうか、ならいい」

 話が通じないとでも言いたげな声だが、私には意味がわからない。

「?」

「……行くか」

 脱力した声で先を促され、私たちは会場に向かった。

 会場のドアが開かれ、ホールへと一歩踏み出す。

 すると、会話をしていた人々が振り返り、私たちをジロジロと眺めた。

 私とシオン様は揃いの衣装である。面倒なパーティーとは思いつつ、武装のためのドレスアップだ。

 私は紫色の生地の上に、シオンの花を全体にかたどった黒いレースを被せたドレスをあつらえたのだ。そう、言うまでもなくシオン様の概念ドレスである。ジュエリーは黒水晶でそろえ、妖艶な雰囲気だ。

 シオン様は黒いスーツに、紫色のシャツを着て、天青石でできたブローチをつけていた。学会発表時につけたブローチと同じもので、セレスタイト公爵家の者だと威嚇する。マントの裏地と、チーフは私のドレスと同じ生地を使っている。