天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「あの? シオン様?」

「ち、近くはないか?」

「ご不快でしたか? でも、今日は我慢してくださいね? シオン様の後ろ盾に私がいることを見せつけたいのですわ」

「いや……それは、ありがたいのだが……その、密着が過ぎるというか……」

 チラリ、シオン様が私の胸に視線を向けて、サッと視線を泳がせた。

 どうやら腕に胸が食い込んでいるのが気になるらしい。

「申し訳ございません。汚物が接触してしまい気持ち悪いですね。あいだにハンカチでも挟みましょうか?」

「は? 汚物……? いや、そういうわけでは。そうではなく、君が気にならないのか? その、私にそんなふうに触れて……」

 ゴニョゴニョと言いよどむシオン様。

「ご褒美ですがなにか?」

 即断すると、シオン様はウッと息を呑み、ハァと息を吐いた。