天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「なにかあったのか?」

 甘く低いウィスパーボイスが私の内耳を蕩けさせる。

(シオンさまぁ……いけないわ……)

 ウットリして腰が砕けそうになる私をシオン様が支え、さらに動揺する。今日もシオン様の魅力は破壊的だ。

「大丈夫か?」

「は、はひぃ……。だい……大丈夫でありまするぅ……」

 小声で答え、お腹に力を込め、両足で踏ん張る。そして、シオン様の胸を押し、距離を取って深呼吸を繰り返した。心の準備が必要なのだ。

 不思議そうな顔をするシオン様を横目に、必死に自分を立て直しイヤイヤながらだが、手にしていた案内状をみせた。

「……あの、これが届いていまして……」

 シオン様は私の手から案内状を取ると中を開いた。