ユニコーンは、私へ背に乗るように鼻で背を指し示した。

 私は茫然自失とするシオン様を押して、むりやりユニコーンに乗せようとする。

「っ、私は……」

「ユニコーンに乗りたくありません?」

「! そ! それは……」

「私が一緒じゃなきゃ乗れませんわよ?」

 シオン様が煩悶しているあいだに、ユニコーンの背に押しつける。するとユニコーンは角をシオン様のマントに絡ませて、むりやり自分の背に乗せた。

 令嬢のように横向きでユニコーンに乗せられたシオン様の後ろに私がまたがる。

「さあ、行きましょう!」

 ユニコーンは軽やかに床を蹴った。

「っ! 待て!!」

 追いすがるローレンス殿下に私は手を振った。

「窓の代金は、のちほど父に請求してくださいまし。今よりよいガラスを入れてくれると思いますわ」

 ユニコーンは、割れた窓をくぐり抜け、颯爽と夜空へと飛び出す。

 フラッシュが音を立てたかれている。

(この写真、お父様経由で手に入るかしら? だったら――)

 私はどさくさに紛れて、シオン様をギュッと抱きしめた。

 茫然とする貴族たちを尻目に、私たちはセレスタイト公爵家を目指した。