「ああでもしなければ、婚約破棄が叶わないと――」
「ルピナ嬢からは何度も婚約破棄の依頼が来ていた。正式な書類で残っている」
「っ! しかし、この金額はあまりにも――」
「おかしいか? ルピナ嬢はお前と十二歳で婚約し十九歳まで、花の一番美しい時期をお前の婚約者として捧げた。八年分の慰謝料と維持費の返納分に利子が付いたらそれくらいにはなろう」
「なぜ維持費まで請求されなければならないのです!」
「その維持費は『ルピナ嬢の婚約者が恥をかかないため』に贈られたものだからだ。ローレンス、お前のものではない」
そう指摘され、オレはサッと血の気が引いた。
「かもしれませんが、オレがあのまま悪女と結婚するよりも大聖女と結婚したほうが王家のためになるはずです! ですから」
「ですから? その慰謝料を国費で賄えと?」
国王陛下はジロリとオレを睨みつけた。
オレは思わず視線を逸らす。
すると、国王陛下は長くため息を吐いた。



