オレはツカツカと国王陛下の書斎に向かっていた。
嫌な予感がする。母は身分が低い側妃で、オレはほかの兄弟たちと年の離れた末弟だ。父は、オレが王太子となるとはみじんも考えておらず、帝王学を学ぶこともなく伸び伸びと育てられていた。
しかし、オレはそれが不満だった。盤石な基盤を作り王太子候補に名乗りをあげる、それがオレの目標だ。シオンとともにその夢を追い、今まで上手くやってきたはずだった。
それなのにどうも、ルピナと婚約破棄してから上手くいかない。
エリカはオレのことを『王子様』だと認識しているが、王位継承権は低く、発言力もない。宮廷でのポジションは高くはないのだ。
今まではセレスタイト公爵家からも、ルピナの婚約者として相応しい暮らしができるようにと維持費をもらっていたのだが、当然のごとく婚約破棄と同時にそれもなくなった。
(エリカが思っているほど、オレには金も権力もない)
思わずため息を吐く。
そのうえ、身寄りのないエリカには、ドレスを準備してくれる者もいないため、すべてオレが用意しなければならないのだ。
(今まではシオンが準備してくれていたのだが。ルピナに拉致られてからは連絡もままならない)
シオンに解決してほしいことばかりが山積みになっていく。



