天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「しかし、気になる点がありますな」

「ああ。私もだ。あの方と論文の言い回しが似ている気がするのだが」

「それに、シオン殿が王宮を去ってから、その方の論文の話を聞きませんが……」

「まぁ、お忙しい方ですから研究から去ったのかも知れませんし、変な憶測はやめましょう」

 ヒソヒソと話す内容が私の耳に入ってくる。

(気がつく人は気づくわよね……)

 かといって、シオン様が望まないのであれば私はローレンス殿下の盗用を暴くつもりなどない。

(なんてったって、私はシオン様が幸せであればいいだけだもの!)

 シオン様にとって、ローレンス殿下は特別な友人だ。いくら私から見てクズであろうとも、口出すことはできない。