天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

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 そして今日は魔術アカデミーでの学会発表である。アカデミーの講堂にはたくさんの人々が集まっていた。

 入り口付近には発表にはいたらなかった論文が張り出されている。

 もちろんローレンス殿下とエリカも見学に来ていた。ふたりは王族の使う特別席に座っている。

 シオン様は私があつらえた服を着て講堂の舞台に登壇した。才能がありながらも、黒髪の偏見が故に魔術アカデミーの進学ができなかったシオン様は、神妙な顔つきである。

 ミッドナイトブルーの三つ揃えのスーツに、足首まで垂れる黒いマント。マントの裏地は濃い紫のシルクになっており、同色の糸で守護の魔法陣を刺繍している。紫苑色のフリルタイの中央には、澄んだ空色の天青石(てんせいせき)で作られたブローチが輝いていた。

 ちなみに天青石の鉱山は、今のところセレスタイト公爵家の領地にしかなく、空色の純度が高い天青石を身につけることができるのは、公爵家の中でも実力が認められているものだけだ。

 空色が美しい天青石のブローチは、シオン様が我がセレスタイト公爵家で認められている証しなのである。