天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


 シオン様は書類を見て感慨深そうにため息をつく。

「まさか、本当にこの論文が受賞するとは……」

 すると、ケンタウルスのケンタウレアがやってきた。

「銀竜草の発見と薬効が認められたのか」

 ケンタウレアの言葉にシオン様は頷く。

「あなたのアドバイスのおかげだ。ありがとう」

「いや、私も違う見知が得られて面白かった」

 シオン様とケンタウレアはふたりで協力し合い、研究をしているのである。

 はじめはドラゴンの治療のために採取してきた銀竜草だが、魔法を増幅させる効果があることがわかった。応用すればいろいろな魔法が発展する可能性を秘めていることが、ふたりの研究で明らかにされたのだった。

「しかし、さすがに最終著者名に『ケンタウレア』が載る日がくるとはな……」

 しみじみと呟くケンタウレアだ。人間界の論文にケンタウルス族の名が載ったのははじめてなのだ。ケンタウルスの存在自体が伝説で、存在を知っている者たちはその存在を隠し搾取してきたためである。

「さあ、学会発表に向けて準備をしましょう! お祝いもしなくちゃね! 学会発表で着る服も作らなくちゃ。シオン様の黒髪を引き立てる服……ああ、黒髪は何色でも似合うから迷っちゃうわぁ」

 ウキウキする私をケンタウレアが見て苦笑する。

 シオン様は気まずそうに頬を赤らめ視線を逸らした。