「すごいわ! 私が算数を教えようとしたときは、みんな嫌がっていたのに!」
私はその違いに目を丸くした。
親に捨てられ孤児だった子供たちは、みな自己肯定感が低く、失敗を恐れていた。そのため勉強など評価が伴うことに拒絶感を示し、妨害する子供もいて授業にならなかったのだ。
(だから、私は勉強をさせるのは諦めていたんだけど……)
私は尊敬の眼差しでシオン様を見上げた。
「どうして、読み書き計算を嫌がらずに教えることができたんですか?」
シオン様は照れたように笑う。
「私は学ぶ目的を与えただけだ。勉強がなにに使えるかわからなければ、やる気は起こらない。実際に必要になれば学ぶしかないからな」
「だから、フェンリルの小屋を子供たちに作らせたんですか?」
「ああ。勉強が苦手な子でも、体を動かしなにかを作ることは得意な子もいる。動物が好きな子もいる。でも、小屋を作るにはフェンリルの生態を調べる必要も、小屋の作り方を調べる必要もある。計算してサイズを導き出すことも必要だ。必要だから彼らは学んだ」
シオン様はこともなげに言う。



