(……まって、いったい、待って……、あんなの、シオン様が子供に嫉妬したみたいに見えるけど、まさか、そんなわけ……)
私がチラリとシオン様に視線を向けると、彼は恨みがましげな目で私を見た。
「ルピナの口から答えなければ信じられないようだぞ?」
シオン様に言われ、私の頭はグルグルである。
「あ、う? えーっと、そうよ! 私、シオン様と結婚したの!」
混乱しつつも事実を告げると、シオン様は鷹揚に頷いた。
(なにそれ、かわいい♡)
キュンとする私をよそに、子供のひとりが自身の髪をつまみながら不安そうに尋ねる。
「ルピナ様は白髪なのに、本当に黒髪でもいいの? 子供が穢れない?」
その子の髪色は黒に近い茶色で、ずっと黒髪の差別を受けてきていた。きっと自分自身が言われてきた言葉なのだろう。
「髪色なんて関係ないわ。私は白髪だけど別に優しくないし、そもそも綺麗な心の持ち主じゃない」
そう笑い飛ばす。



