天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「シオン様、あの、これはですね?」

 シオン様はスっと目を細めた。少し不機嫌にも見える。

「ああ、しっかり勉強してルピナを助けてやってくれ」

 シオン様がそう言うと、子供たちがブーイングをする。

「なんか、シオン様、ルピナ様の旦那さんみたいな言い方するぅ」

 その声にシオン様はバッと顔を赤らめて、顔を逸らした。

 私は慌てて子供たちを取りなす。子たちにはシオン様と私の関係を話していなかったからだ。

「はいはい、茶化さないの!」

 私が苦笑いをしつつあしらうと、シオン様は子供たちに顔を向けた。

「そうだ。私はルピナの夫だ。だから、ルピナはほかの者とは結婚しない」

 そう早口で宣言すると、再度そっぽを向いて首を掻いた。