天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


(まったく理解できてなさそうだけど。大丈夫かしら? 原作では慰謝料請求されてなかったみたいだけど、私はガッポリいただくわよ?)

 私は未来を考えウッキウキだ。

「婚約破棄してくださり誠にありがとうございます!」

 私が優雅に礼をすると、ローレンス殿下は皮肉に笑う。

「最後まで強がりを! かわいさのかけらもないな!!」

「あなたにかわいいと思われたくないんですもの。しかたがないですわ」

 私はそう言うと、シオン様のもとへ駆け寄った。

「だぁって、私が好きなのは、シオン様ですから!」

 そしてその腕に自分の腕を絡ませる。

 シオン様はバケモノでも見るような目で私を見た。