天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「不便なことはありませんか? 紅茶の銘柄やお菓子など、お好きなものを言ってくださいね」

「大丈夫だ。不思議なことにここで用意されているものはすべて私の好みに合っている」

 シオン様の答えに、私は内心ガッツポーズだ。居心地のよい監禁場所を作るため、長年リサーチした結果が見事に実っている。

「それはよかったです」

「で、願いとは?」

「今までドラゴンの治療をお願いしていましたが、魔塔にもっと踏み込んでいただきたいのです。子たちの教育や魔獣の治療と研究などお願いできますか?」

 シオン様は小首をかしげる。

「魔獣の治療と研究をさせてもらえるのはありがたいが……。私が子供のたちの教育?」

「ええ、エリカ様を見いだした実力を見込みお願いいたします」

 私が頭を下げると、シオン様は困惑顔を向ける。