「『大聖女の師である宮廷魔導師シオンの不在が影を落としている』……って、エリカが失敗したおかげでシオン様の評価が上がった……と」
シオン様が正統な評価を受けるのは嬉しいが、心配が勝る。
(宮廷に居場所があるとなったら、シオン様はここにいる意味がなくなるのよね。それに、エリカが窮地だと知れば優しい人だもの、助けたいと思うはずよ)
私は新聞を折りたたみ、はーっとため息をついた。
そうなれば、また原作と同じようにローレンス殿下とエリカに利用されてしまう。それだけは阻止しなければならないのだ。
「シオン様に宮廷へは戻れないと脅迫しておかなくちゃね」
私はシオン様の暮らす魔塔へ向かった。



