「私たちの旅行が『新婚旅行』と呼ばれ、王都で話題になっているらしい。旅行代理店プルメリアが大型キャンペーンをしてるようだぞ」
そうシオン様が指さすほうを見ると、プラットホームの壁に大きな横断幕が掲げられていた。
―― 特別なふたりの甘い旅 新婚旅行はプルメリア ――
私はそれを見て思わずブッと噴き出した。
(私がいないあいだに、プルメリアのみんなが画策したのね……。あまりシオン様を目立たせたくなかったのに……)
頭痛を感じ眩暈する。
「はぁ……、ご迷惑でしたよね? すみません」
私がシオン様に謝ると、彼はなんでもないことのように笑う。
(動じてないところを見ると、シオン様はこうなることに気がついていたのかしら? さすがだわ!)
独自の情報網を持つというシオン様なら、新聞など届かなくても王都の情報を手に入れていたのかもしれない。



