「父上! ルピナは悪女として有名です。いくら聖なる白い髪であっても、彼女の悪評は消すことができない。しかも、その大切な白髪でさえ、私が何度命じても伸ばすことをしない。これは王家に対する侮辱であり、挑発ですらある!!」
ビシリと私に向かって指をさす。
「お前はなにを言っているのかわかっているのか!」
国王陛下は気色ばんで立ち上がった。
「しかも、こんな晴れやかな日に、女でありながら乗馬服など着用し、私に恥をかかせようとする女です。悪い噂も数知れず。こんな女を王子妃にしたら、王家の品位がさがります!!」
ローレンス殿下の言葉に、賛同の歓喜が湧き起こった。
国王陛下は苦々しい顔で周囲を見る。もう、国王陛下の言葉だけでは押さえられない盛り上がりだ。
私は国王陛下に微笑みかけた。
「国王陛下。私はかまいませんわ。婚約破棄を喜んで受け入れましょう」
私の一言で、会場は静かになった。
国王陛下は困惑し、お父様は満足げに頷いた。「よく言った」といわんばかりである。
ローレンス殿下は怪訝そうだ。



