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そうして、今度こそ私は寝台列車での最後の晩は徹夜して過ごした。間違ってもシオン様を襲わないためだ。
旅行の最終日、寝台列車が王都の駅に滑り込むと、ホームにはたくさんの見物客が集まっていた。私たちがのんびりしているあいだに、豪華寝台列車アスターは有名になっていたようだ。
「すごい人々だな」
車内からホームを見るシオン様は、呆気にとられている。
完徹状態の私は頭が上手く回らない。頭はクラクラで、疲弊しきっていた。
「そうですか」
ボーッとしながら答えつつ、早く自分の寝室でユックリ眠りたいと考えていた。
(魔塔の子供たちはどうしているかしら?)
帰り道では、シオン様の提案で一緒に魔塔の子供たちにお土産を選んだのだ。
(シオン様そういう心遣いが本当に優しいのよね)
帰宅後のことを考えつつ、プラットホームに降り立つと、ワッと歓声があがった。
皆、白地にピンクのハートが描かれたパンフレットを持ち、私たちに向かって振っている。



