天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

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 そうして、私たちは一ヶ月あまりを山のログハウスで過ごした。

 昼は山の中を歩き、さまざまな薬草を探す。無事、銀竜草も収穫し、シオン様はその性質を研究した。

 夜はテラスで星を語り、各々の部屋で寝る。

 幸せ過ぎて夢のような日々だった。

 そうして、今日、豪華寝台列車で王都へ向かうことになった。

 久々のデラックスルームのドアを開く。リビングに入り、寝室のドアが見えた。ハタと思い出す。

(はぅ! もしかして!)

 寝室のドアを開くと、そこにはキングスサイズのベッドが鎮座し、今度は深紅のバラの花びらでハートが作られていた。

 私は慌てて花びらで直線を引く。

 シオン様が寝室の入り口で私の様子を見て笑った。