天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


 私は背中をドアにつけ、思わずため息を吐いた。

 シオン様が私を見ている。

「……すみませんでした。騙すように旅行に連れ出して。パレードのことを知って驚きましたよね……」

 私は俯き謝る。

「いいや。知っていた」

 シオン様の答えに私は驚き顔を上げた。

「は? 知って……、いつから……?」

「旅に出る前から、噂は聞いていた」

「でも、シオン様は魔塔に監禁していて……」

「あなたが情報統制していたのも知っている。私には私の情報網がある」

 シオン様の言葉に、私は息を呑んだ。眩暈がする。

 それはそうだ。シオン様は魔導師としての能力はこの国随一なのだ。自分で情報を集めようと思えば集められるにちがいなかった。

 なにしろ、魔塔の封印を破って公爵家に現れることができる人だ。ローレンスとエリカがシオン様を取り返しに来た日、タイミングよく現れたのも、きっと独自の情報網を使ったのだろう。