天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


(怖いけど……それ以上に美しい……)

 私は思わず見蕩れてしまう。

 シオン様は冷たい顔で、静かにオリバーを見おろした。

「オリバー様、ルピナを侮辱するのか?」

 ヒュッとオリバーの喉が鳴った。

 強風が吹き、シオン様の長い黒髪が風にたなびく。

 カラスの鳴き声が響いてくる。

「であれば、私も容赦はしない」

 そう言って懐から魔法の杖を出し、オリバーに向けた。

「な! 私闘に魔法を使えば罪に問われるぞ!」

 オリバーはジリジリと後ずさりながら、呻くように批難した。