「私は帰らない」
シオン様がキッパリと答え、私は顔を上げた。
「妻との旅行中だ。戻れないと伝えくれ」
「な! ローレンス王子殿下のたっての願いだぞ? それを無視するのか? そんなにその悪妻が怖いのか!」
「ルピナは悪妻ではない。私の愛する妻だ」
オリバーはそれを聞き、顔を真っ赤にしてワナワナと震えた。
私も真っ赤になって、プルプルと震える。
動揺する私の前で、オリバーが怒鳴る。
「な! 馬鹿な! 本気か! 洗脳でもされているのか!」
(悲しいけど、完全同意よ!)
すると、シオン様はスッと顔から表情を消した。
気温が一気にさがるようだ。
その気迫に戦いてオリバーが一歩さがる。従者はさらに五歩ほど後退していた。



