「オリバー様……」
呟かれた名前に、私は「なぬ!」と睨みをきかせた。
視線の先にはふたりの男がいた。貴族風の青年と、従者のようだ。ふたりとも足元はボロボロで、革靴が無残な姿になっている。登山列車に乗ることができず、山道を歩いてきたにちがいない。私たちが滞在中は、登山列車に客を乗せないように命じてあったからだ。
シオン様の声に振り向いたのは、オリバー・モーリオンだった。シオン様のふたりいる兄のひとりだ。様付けで呼ぶのは、彼らがシオン様を弟と認めず、兄と呼ぶと折檻したからである。
「シオン! ローレンス王子殿下の命令で迎えに来た! 早く帰るぞ!!」
怒鳴りながらツカツカとシオン様の前にやってくる。
私はシオン様とオリバーのあいだにはだかった。
「あら? どちら様? 私の愛する夫になんて口をきいてくださいますの?」
横柄に尋ねると、オリバーは眉間に皺を寄せる。
「モーリオン男爵家、次男のオリバーと申します。ローレンス王子殿下の命を受け、シオンを迎えにまいりました」
「お断りしますわ」
私は即答する。
呟かれた名前に、私は「なぬ!」と睨みをきかせた。
視線の先にはふたりの男がいた。貴族風の青年と、従者のようだ。ふたりとも足元はボロボロで、革靴が無残な姿になっている。登山列車に乗ることができず、山道を歩いてきたにちがいない。私たちが滞在中は、登山列車に客を乗せないように命じてあったからだ。
シオン様の声に振り向いたのは、オリバー・モーリオンだった。シオン様のふたりいる兄のひとりだ。様付けで呼ぶのは、彼らがシオン様を弟と認めず、兄と呼ぶと折檻したからである。
「シオン! ローレンス王子殿下の命令で迎えに来た! 早く帰るぞ!!」
怒鳴りながらツカツカとシオン様の前にやってくる。
私はシオン様とオリバーのあいだにはだかった。
「あら? どちら様? 私の愛する夫になんて口をきいてくださいますの?」
横柄に尋ねると、オリバーは眉間に皺を寄せる。
「モーリオン男爵家、次男のオリバーと申します。ローレンス王子殿下の命を受け、シオンを迎えにまいりました」
「お断りしますわ」
私は即答する。



