天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


 エリカの木の向こうには、白いルピナスが紫の闇に染められ咲いていた。

「たしかに、あなたのように毅然としている」

 シオン様はそう言うと、また前を向いて歩きだした。

(エリカに立ち止まったんじゃなく、ルピナスに目をとめたの?)

 唇を噛む。胸がいっぱいになり、幸せで泣いてしまいそうだ。

「やっぱり好きだなぁ……」

 思わず零れる想いは、シオン様には届かない。

 私はズッと鼻をすすり、先を行くシオン様を追いかけた。

 コテージの前に戻ってくると、シオン様がピタリと足を止めた。