天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


 ファーストダンスが終わると同時に、ローレンス殿下が室内楽団に向かって手を挙げ音楽を止めた。

 周囲の注目がふたりに集まる。

 ローレンス殿下は、エリカの前に片膝をついた。

 私は頭痛を感じる。

(あー……やっぱりね? やっぱりそうきちゃう?)

「新大聖女エリカ様へ婚約を申し込みたい!」

 ローレンス殿下はそう言うと、フフンと私を流し見てドヤ顔をする。

「ロー……!! でも、あなたはすでに婚約者が……」

 エリカは困惑しつつも喜色を隠せない表情で私を見た。

「悪女ルピナとは婚約破棄する! 俺が愛しているのはエリカだけだ!」

 ローレンス殿下の言葉に、シオン様はサッと顔を青くした。