天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~

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 そうして、てんやわんやしながら私たちは豪華寝台列車の終点の駅へとやってきた。

 ハルニレ山脈の麓を開発したリゾート地で、冬は雪を楽しみ、夏は避暑地となるのだ。山際の一等地にはループス商会のリゾートホテルがあり、今回の乗客のほとんどはそこへ泊まる。

 また別荘地としても開発中の地域でもある。

 私とシオン様は登山列車を使い、さらに上を目指す。

(シオン様のために、まだ観光地化されていない場所へログハウスでコテージを作ったのよ。周囲は薬草の宝庫だから、きっと世間の喧噪から逃れられるはず)

 私はほくそ笑んだ。

 王都でおこなわれる新大聖女就任パレードの噂が届かない場所へ、シオン様を連れてくるのに成功したのだ。

 一ヶ月ほどここで過ごし、パレードが終わったころに王都に帰ればいい。

 ログハウスには少ない数の使用人がいて、生活には困らない。人目を気にせず、自然を満喫できるというわけだ。

 シオン様は到着したログハウスの前で、深くため息をついた。