天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「ルピナ様は情緒がないというか……これで解決しがちなお方です」

 車掌はそう言うと、親指と人差し指で輪を作り、金貨のマークを作る。

「私の悪口かしら?」

 私が軽く睨むと、車掌は「滅相もない」と笑う。

「もちろん、お金もありがたいのですが、こうやって旅のひとときに私どもを思い出してくださった、そのことが嬉しいのです」

 車掌が続けると、シオン様は口の端を上げる。

「そうか」

「ありがたくちょうだいいたします」

 車掌は再び頭を下げた。

 私たちは休憩室を出て、自分たちの車両へと向かう。

「良かったですね」

 シオン様に声をかけると、無言で頷く。安心したような微笑みを浮かべている。