天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


 休憩中で雑談していたスタッフたちは私を見て、ビシッと居住まいを正す。若手のスタッフなどはカタカタと震えている。

 悪女ルピナと名高い私と、漆黒魔導師が怖いのだろう。

「いかがいたしましたか? なにか問題でも」

 車掌が前に出て尋ねる。

「いいえ、とても楽しい旅をしているわ。心遣いありがとう。これはみんなに食べてほしくて用意したのよ」

 そう言ってシオン様が用意したお菓子を手渡す。

「ありがとうございます!」

 車掌はそう頭を下げて、私を見たあとシオン様を見た。

 シオン様が驚いたように目を見開くと、車掌はシオン様にも頭を下げた。

「なぜ、私に?」

 シオン様が戸惑うと車掌は笑った。

「いえ、きっと旦那様のご提案ではないかと。違いましたか?」

 シオン様は困ったように口を噤んだ。