シオン様は呆然とした面持ちで私を見た。
「……今のはなんだ?」
私は思わず笑ってしまう。そんな顔さえ愛おしい。
「驚かせてしまってすみません。飴配りオババはこの町の通過儀礼のようなものなんです。飴配りオババは自分が認めても良いと思った相手に飴を配るんですが……、あの風貌でしょう? 旅人の多くは邪険に扱ってしまうんです。でも、丁寧な対応をした人はオババに認められ、町の人からも認められるんです」
「オババに認められなかったらどうなるんだ?」
「特に心配することはありません。ただ『お客様』として扱われるだけですよ」
私が笑うと、シオン様は肩をすくめた。
「私は客じゃないわけか」
「そうですね。その扱いが嫌な方もいるでしょうけれど」
「私は意外と嫌ではないな」
シオン様が微笑み、私は思わず目を奪われた。
「? どうした?」
怪訝な視線を向けられて、ハッとする。
「あ、いえ、では少し町を歩いてみましょうか」
「ああ」
シオン様を連れ、私は歩き出した。



