天才魔導師の悪妻~私の夫を虐げておいて戻ってこいとは呆れましてよ?~


「少し気の毒だな」

「は? 気の毒ではありません。シオン様に無礼を働いたのです。あれくらい当然です」

 私が鼻息荒く答えると、シオン様は肩をすくめる。

「そういう意味ではないんだが。きっと彼は――」

 シオン様が言いかけているところに、町の人々がワイワイと集まってきた。

「あんた、ルピナ様の旦那様かね」

 ひとりの老婆に問われてシオン様は無言で頷く。

「そうかね、そうかね。ルピナ様の旦那様かね。じゃあ、飴ちゃんをあげようかね」

 老婆は紙に包んだ飴をシオン様に差し出した。

 シオン様は動揺して私を見る。